現代の日本人の食生活は・・・

現代の日本人の食生活は・・・神戸市長田区の永田診療所の「食」についてのコラム。


「個食」と「孤食」

食卓の無国籍化

最近では、家族揃っての食事が当り前でなくなってきたような気がします。
一つに「個食」という言葉がありますが、これは加工食品の充実により調理の手間が比較的省け、家族が一緒の食事でも個人の好みに合わせ、子供は八ンパーグ、親は焼魚といったようにメニューがパラパラの食事をとることです。まさに食卓の無国籍化現象が起こっているのです。

食習慣の変化と欧米化

もう一つは「孤食」という言葉です。子供達は塾通いやアルバイトで大忙し、父親は残業や遠距離通勤などで連日遅い帰宅時間、更に母親の就業率の増加などが原因となって家族が全く別々の時間帯で食事をとる傾向にあるのです。
簡便性や合理性から加工食品、ファーストフード、お弁当、ピザ、フライドチキンといったテイクアウト商品が現代社会にもてはやされるのは当然のことかもしれません。日本人の食生活が欧米化傾向にあることはよく知られていますが、私たちはただ洋食好みになったのではなく、社会環境も手伝って欧米化の食生活に拍車をかけています。
ここで生活習慣病の一つである糖尿病の有病率を比較したデータを見ると、欧米の食習慣を有している日系米人の糖尿病有病率の高さからみて、今後の日本人成人における糖尿病有病率は、ますます増加する可能性を示唆しています。今こそ家族だんらんの食事ができる社会環境の見直しから行わなければ、本当の食生活の見直しはできないのではないでしょうか。